ゼロ号試写室

映画やDVDの感想。たまに初音ミク&仕事の雑感他。

『ディアトロフインシデント』61点

movies.yahoo.co.jp

【物語】★★☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》61点

 

まあ、2時間それなりに楽しめる。

ただし、観終わってから「ああ、観てよかった!」と言える人は

ほとんどいないだろう。

ごまかしごまかし飛んで、軟着陸して、まあ、セーフ。

そんな感じ。

 

物語は、ディアトロフ峠事件という実際に起こった奇妙な事件をもとに、

ストーリーが進む。

ディアトロフ峠事件というのは、知らなかったが、ロシアの雪山で山岳隊が全員、

全裸であったり、抵抗の跡がなかったり、奇妙な死に方で死亡するという事件。

ブログ主は基本的に、メアリー・セレスト号事件とか、

この手のミステリアスな話は好きなので、この映画をレンタルで借りた。

 

この手の「実際に起こった未解決事件」を映画化するのは、勇気がいる。

「答え」はなく「解釈」するしかないのだから、異論が必ず出るからだ。

でも、人々の興味関心を惹くから、商品化はしやすい。

 

さて本作。

現代のアメリカ大学生のチームが、ディアトロフ事件のドキュメンタリーを作成するということで、物語が進む。

最初の1時間は、特に大きな事件もなく、ロシアの山に到着する。

このあたりは『世界の車窓から』みたいな感じ。

(あまり退屈はしない)

 

1時間あたりから、話が急展開する。

彼らが山に入り、彼ら自身に異常現象が起こり始める。

それを、仲間の誰かのいたずらだと思ったり、

なんとか不安をごまかしながら、彼らは雪山の目的地に進む。

 

このあたりは、なかなかスリリングに見れる。

(ただし薄々、「これ、納得できるオチはあるのかな」という心配もしはじめる)

 

後半に入ると、急展開になる。

それまで、比較的低予算映画、というかインデイーズ映画のノリだったのが、

急にハリウッドSF映画みたいに、いろいろ起こる。

このあたりは、レニー・ハーリン監督お手の物。

 

で、ある程度の、、、、、

ほんとに、ある程度の「解釈」が示されるが、

力技感が半端ない。

そして、強引な割には、それでもまだ筋が通っていないような気がするが、

そこはもう、CGとモンスターでゴリ押しするw

そして、なんとかオチがつく。

 

ん〜。

見て損した、とか、腹が立った、というのはないかな。

勢いに押し切られてよくわかんなかったけど、、、ま、いいか。

そんな映画。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アントマン』69点

marvel.disney.co.jp

【物語】★★★☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》69点

 

まあ、それなりに楽しめる。

大きな失点はないが、大きな加点もない。

もう少し期待していたが、そこには及ばなかった。

 

映像的には、特に斬新なものはない。

何十年も前の『ミクロキッズ』とほぼ同じ。

サイズを任意で変更できる点など、もう少し面白いのかな、と思っていたが、

わりと普通だった。

 

物語も、まあだいたい想定内。

とりたてて書くこともないのだが、

気に入らなかったところと、気に入ったところが、一つずつある。

 

まず気に入らなかったところ。

アベンジャーズの一人が登場するのだが、あれはどうなんだろ。

アベンジャーズフアンにしてみれば、

「夢の対戦だ」「コラボだ」と思うのかもしれない。

でもアベンジャーズを知らない人にしてみれば、「何あれ?」。

映画単体の完成度としては、下がった気がする。

 

気に入ったところ。

アントマン」は「蟻くらい小さい男」だと思っていたが、

「蟻を仲間にして戦う男」だという物語だった。

これは映画を見るまで知らなかったのだが、

意外にここの要素がおもしろかった。

少し、ほろりとさせてくれる。

 

総括すると、まあ、CMがおもしろそうだったけど、

だいたい面白いところは、そこで全部だった、という感じか。

 

「意外に面白かった!」と書きたくて見てみたのだが、

意外性はあまりなく、まあ、思った通りか、それを微妙に少しだけ、

ほんの少しだけ下回るくらいの作品だった。

無難に楽しめるよ。

 

 

 

 

 

 

『ピクセル』67点

bd-dvd.sonypictures.jp

 

【物語】★★☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》67点

 

もともとクリス・コロンバス監督の映画は、あまり好みではない。

ホームアローン」や「パーシージャクソン」など、

やや「おこちゃま向け映画」と言わざるを得ないからだ。

それがダメだ、というのではなく、私が好きだないということ。

だから、この監督の作品はお金を出して見たことがない。

いつも、地上波待ちだ(そして、地上波で放映しやすい監督&作品なのだ)

ただ、今回はテーマに惹かれたのでツタヤで借りた。

テーマはゲームである。

 

この映画は、いま40代の人間を狙い撃ちにした映画である。

学生の頃にインベーダーゲームが生まれ、

ゲームセンターやファミリーコンピューターとともに少年期を過ごした、

まさに私の年代にどハマりのテーマ。

 

ギャラガギャプラスギャラクシアンの違いが即座に言える人は、

間違いなくこの映画を見るのではないだろうか。

 

で、そんな「狙い撃ち」された世代がこの映画を観た感想だが、

「まあまあ、楽しめた」。

映画としては、いわゆる「おばか映画」に属するコメディで、

真剣にストーリーを追うようなものではない。

アダム・サンドラーの演技も、なかなか笑わせてくれるし、

クリス・コロンバスもさすがこの手のベテランで、

ツボをおさえながら、テンポよく映画を作っている。

 

ただ、基本的には馬鹿さ加減を楽しむ映画なので、

あまり高得点をだせる代物ではない。

ましてや、「世代」から外れた人がみたら、なおさら得点は低いだろう。

「何が面白いの?」となるかもしれない。

 

個人的には、いまから30年以上も昔、

西友の屋上にあったゲームセンターに、

50円玉を何枚か握りしめて通っていたことを思い出し、

郷愁に浸れた。

 

それだけで70点以上の価値は個人的にあるのだが、

一般的な評価はもう少ししただろうと思い、3点、減じておく。

 

 

 

『オデッセイ』89点

www.foxmovies-jp.com

【物語】★★★★☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★★

《合計評価》89点

 

横綱相撲、とはこのことだろう。

世界最高峰の監督の一人、リドリー・スコットが、

すばらしい脚本に恵まれたなら、

至福の120分感が生まれる。

まさにこの映画がそうだ。

盤石の取り組みで、文句のつけようがない。

 

ストーリー展開は、ロン・ハワード監督の『アポロ13』と同じだ。

宇宙に取り残されたクルーが、知恵と科学と行動で、地球への帰還を目指す。

殺風景な火星を舞台に、一人悪戦苦闘するマット・デイモンを映すのだが、

知的冒険が小気味よく繰り広げられ、まったく飽きない。

主人公と一緒に、喜び、落胆し、ドキドキし、

火星脱出ゲームを楽しむことができる。

また、NASAを始め、地球や、ヘルメス(宇宙母艦)の仲間たちの活躍も頼もしい。

ショーン・ビーンが渋い役柄を演じている)

 

映像美は、さすがリドリー・スコットと言うべき。

前作『プロメテウス』は映像美しかなかった残念な作品だったが、

今作は、脚本がよく、作品完成度が高い。

SF映画として、パーフェクトと言っていいだろう。

 

こういう映画を見ると、日本はSF映画に関して、歯が立たないと言わざるを得ない。

映像や予算の問題以前に、脚本(原作)の問題。

科学的博識を兼ね備えた作家が日本にいるかといえば、

小松左京以降、やや、小粒と言わざるを得ない。

これは、映画の問題というより、作家の問題か。

 

さて本作に、あえてケチをつけるとしたら、

あまりにも見事な決まり手で横綱が勝ってしまったことだろう。

鬼気迫る何か、あるいは心のひだにひっかる何かは、この映画には特にない。

スパン!と一瞬で完勝だ。

相撲でも、こうした取り組みは、えてして名勝負とはならず

記憶に残る取り組みにはならない。

 

そんなことでケチをつけるのは我ながら意地悪だが、

たとえば『2001年宇宙の旅』や、

同じリドリー・スコッとの『ブレードランナー』や、

最近の宇宙ものなら『月に囚われた男』などは、

鑑賞した後々まで、見たものを、その世界に呼び戻す、

何かを持っている。

それが『オデッセイ』にあったかというと、ないかもしれない。

 

ただ、それは「あえてケチをつけるなら」レベルの話。

誰にでもお勧めできる、すばらしい映画であることは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『インターステラー』67点

【物語】★☆☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★★

《合計評価》67点

 

思い切って低評価をつけた。

でも実は迷いがある。

私の友人、尊敬する先輩、家族が、

全員一致で「傑作だ」と評価しているからだ。

彼らより何倍も映画を見ている自負があるのだが、

何か大事なことを見逃しているような気もする。

でも、本心から、この作品にはがっかりしたので、

正直に低めの評価にする。

 

実は相当、期待して見に行った。

クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』は超傑作だと思うし、

インセプション』もかなり面白かった。

インターステラー』も公開前から話題になっていたし、

ひさびさに本格的なSF映画が、つまり、

トランスフォーマー』や『スタートレック』のような、

ヒーローアクション映画ではなく、硬派なSF映画が堪能できると思い、

心待ちにしていた。

そして、上映から30分くらいは、「これは大傑作かもしれない」と、

幸福感に包まれていた。

 

・・・が。

しばらくすると、どうにも違和感というか、ひっかかりが出てきた。

最初は「気のせいだろう」「まあ、これくらいは大目に見よう」と、

自分に補正をかけてきた。

だが、半分くらい時間が過ぎたところで、とうとう観念した。

「この映画は、だめだ」という烙印を押さざるをえなくなった。

この映画は、脚本のツメがめちゃめちゃ甘い。

いや、ひょっとしたら最初から、収集がつかない話とわかっていたから、

確信犯的に、ツメの甘さはスルーして、勢いで撮りきったのかもしれない。

全体をとおして、ストーリーがひどいのだ。

 

事前に「話が難しいらしい」という噂は聞いていた。

相対性理論がわからないと理解できないとか。

でも、そういう高い次元の「脚本がひどい」ではないのだ。

中学や高校の学園祭で使う、学生が書いた脚本を、

ハリウッドの監督と資本で撮影した。

そんな印象を受けた。

 

たとえば科学者役のマイケル・ケインが、意味深な詩を何度も口にする。

どんな意味を持ってくるのだろうかと思って待ち続けたのだ、最後まで放置だ。

 

最初に訪れた惑星で1人死ぬのだが、最初からロボットが救助に行ってたら、

余裕で助かったのはバレバレである。

1つの惑星で1人ずつ殺していきたい、というご都合主義が見え見え。

 

主人公の娘が畑を焼くシーンも意味がさっぱりわからなかった。

ただでさえ貴重な食料を、なぜ燃やしてしまうのか。

しかも、燃やされた男は、怒りもせず泣いている。

 

一番笑ったのは、シャトルと宇宙ステーションのドッキングシーン。

狂った博士が爆破したせいで、宇宙ステーションとドッキングするための

プログラムが無効になり、シャトルの主人公は窮地に立たされる。

どうやってドッキング成功させるんだろう、とハラハラドキドキしていたら、

あっさりと車を縦列駐車させる要領で「あらよっ」とやってのけた。

 

とてもじゃないが、本格的なSFではない。

なんとなく、感動の超大作っぽくつくられた、御都合主義のB級映画だ。

正直、途中からは苦笑しながら見ていた。

幸い、映像はものすごいので、飽きることなく最後まで観れたのだが。

 

これが私の率直な感想だ。

ただ、冒頭での述べた通り、本作を「最高だ!」と評価する人が多いことも、

十分承知している。

 

非常に評価に戸惑う作品である。

 

 

 

 

 

 

 

『インサイドヘッド』81点

インサイド・ヘッド (字幕版)

インサイド・ヘッド (字幕版)

  • Pete Docter
  • キッズ/ファミリー
  • ¥2000

【物語】★★★★☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★☆

《合計評価》81点

 

ピクサー映画の中でいちばん好きな映画は『モンスターズインク』だ。

それと同じ監督がメガホンをとった最新作。

(CG映画だからメガホンはないか・・・・・・)

素直に面白かった。

 

少女の脳内(インサイドヘッド)が映画の舞台。

ヨロコビやカナシミが擬人化され、

主人公の少女をなんとか幸福になるように導こうとする。

 

人がどのように経験を記憶として蓄積し、人格を形成するのか、

そのエコシステムがヴィジュアル化されていて、興味深い。

 

物語では、引越しに伴う少女のストレスや、家庭のトラブルがもとで、

脳内の調和が乱れ、明るかった少女の「性格」が脅かされる。

 

人はヨロコビだけでは生きられない。

カナシミも時として必要だ。

そんな普遍的なことを、説教くさくなく、教えてくれる。

これは、古今東西、老若男女問わず、共感できるテーマだろう。

こういう普遍的なテーマを、誰が聞いてもわかりやすいくて楽しい話に

落とし込むところは、さすがディズニーと言ったところ。

 

個人的にはビンボンのくだりが泣けた。

少女が幼少期につくりあげた架空の存在なのだが、

そうした「頭の中の、自分だけの友達」に、

誰しも覚えがあるのではないだろうか?

私にはあった。

ずいぶん、相談にのってもらったし、遊んでもらった。

すっかり忘れてしまっているが、今の私がいるのは、

思えば、そうした「存在しない」友人のおかげである。

 

実はこの映画、当初は見る予定がなかったのだが、

お正月に、子供たちに見せるためにツタヤで借りたもの。

子供達も楽しんで見ていたが、

実は大人の私の方が、楽しませてもらっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハンガーゲーム FINALレジスタンス』40点

落合博満の映画鑑賞読本『戦士の休息』(岩波書店)をご存知だろうか。

 

www.amazon.co.jp

 

「落合」「映画」「岩波」という3つが1冊の本としてコラボするのは、

「意外」以外の何物でもないが、なかなかこれが、読み応えたがある。

この本の特徴は、基本的に落合は「ほめる」ことだ。

批評するのではなく、野球の話などとからめ、評価するのだ。

(野球の話と、これがうまく絡み合うのだ。不思議・・・・)

 

そんな落合が唯一「これは見ていて頭に入らなかった」という映画がある。

『パイレーツカリビアン』。

言ってはなんだが、これよりつまらなさそうな映画も、落合は相当褒めている。

落合自身、最初はなぜこの映画を受け入れららないのかわからなかったそうだが、

観終わってから理解できたという。

 

「この映画は続編がある前提で作られた作品だ」

 

つまり、映画自体が作品として完結していないものは、

映画として認めることも評価することも難しい、ということだ。

この気持ちは、よくわかる。

 

そして『ハンガー・ゲーム FINALレジスタンス』は、

その最たる悪例である。

http://movies.yahoo.co.jp/movie/ハンガー・ゲーム+FINAL:+レジスタンス/351163/

 

【物語】★☆☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》40点

 

前作(1と2)を観ていない人にとっては、さっぱり意味がわからない映画なのだ。

とりたてて大きな見せ場も、単品で観た場合の物語もない。

しかも、このあとに「4」があるので、話が途中で終わる。

単品としては、商品として失格だ。

 

1は、そこそこ好きである。

2も、やや単品としては甘さもあるが、観れた。

でも本作は、途中でいやな予感がしはじめて、それがあたった。

最終話「4」につなげるための、つなぎでしかない。

しかも、相当便利に使われているw

 

予算もかけている映画で、出演者も私好みのしぶい役者がたくさん出ている。

フィリップ・シーモア・ホフマンに合掌)

応援したい気はやまやまあるのだ。

 

「4部作で評価してよ」

と作者は考えているかもしれないが、それならそれで、つくりようはあるはずだ。

ロード・オブ・ザ・リング』なんて、毎回満足できた。

作り手は、一球入魂ではないが、一作入魂で映画を作って欲しい。