『ヴェノム』がいまいちツマラナイ理由はこれかな 62点
【物語】★★☆☆☆
【演技】★★★☆☆
【映像】★★★☆☆
《総合評価》62点
最初に断っておくと、ひどい映画ではない。
むしろ安定のハリウッド娯楽映画と言っても差し支えない。
ではなぜ評価が低いのかというと、ブログ主にとってこの映画は、マイナスも少ないが、プラス材料もほとんどなかったから。
クオリティは低くないけど、観ても得るものが少ないと感じた珍しい作品。
主役はトム・ハーディ。
私が大好きな「マッドマックス 怒りのデスロード」の主役。
もっとも「デスロ」があんなに好きであるにも関わらず、別にトム・ハーディのフアンではない。むしろ、あんまり印象に残ってない。
あくまで私的な見解だが、珍しいほど存在感がない役者だ。
本作でもそのスキルが遺憾無く発揮され、劇場を出る頃にはボンヤリとしか顔の輪郭を思い出せない。
そつなく無難な演技をしているが、素晴らしいというほどでもない。
他の出演陣もそんな感じ。
ひどくもないけど、目を見張る素晴らしさもない。
映像的には、これも悪くないんだけど、取り立てていいところも皆無。
ヌルヌルしたCGによるバトルと、カーアクションと、銃撃戦。
そのどれもが普通としか言いようがない。
悪くはないけど、既視感があるというか、見慣れた風景のオンパレード。
見せ場となるようなロケ地や、新次元の映像や、ガジェットがない。
この映画は、出演者や壮絶なバトルシーンで魅せる映画ではない(と思う)。
おそらく「ヴェノム」という存在自体が最大の目玉であり、本作の生命線。
これを「新しい」「面白い」と感じられたら、おそらく評価が高くなるだろう。
だがブログ主は、残念ながら、ヴェノムという存在自体、なんら新規性を認められなかった。これは鑑賞して自分でも意外なほど、感じることができなかった。
なんでだろうと思って思い当たったことがある。
一見「斬新なダークヒーロー」のように見えるけど、そうではないのだ。
我々は、この手のパターンを、すでによく知っている。
ネットではヴェノムと寄生獣の共通点を指摘する向きもあるが(確かにその指摘は正しいと思うが)、寄生獣よりもっと有名なものと共通している。
例えばデビルマン。
デビルマンは主人公が悪魔に憑依(?)されてダークヒーローになっている。
例えばウルトラマン。
ウルトラマンも、ある意味エイリアンが地球人に憑依して、ヒーローになっている。
例えば仮面ライダー。
これは憑依ではなく改造だが、元々はショッカーの科学力でヒーローが力を得ている。
つまり、テレビ世代の日本男児なら「悪い宇宙生命体が人間に取り憑いてダークヒーローが登場した」なんてシチュエーションには、今更全くワクワクできないのである。
ただし、擁護もしておきたい。
確かにブログ主にとって、収穫の少ない本作であったが、
2時間飽きることなくスクリーンに向き合えたのも事実である。
ある観客にとってほとんど興味が持てない内容でも、脚本や撮影で「観れる」作品にすることができるのだから、ハリウッドのシステムはさすがという他ない。