ゼロ号試写室

映画やDVDの感想。たまに初音ミク&仕事の雑感他。

『チャッピー』78点

チャッピー  Chappie (字幕版)

チャッピー Chappie (字幕版)

  • ニール・ブロムカンプ
  • アクション/アドベンチャー
  • ¥1500

【物語】★★★☆☆

【演技】★★★★☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》78点

 

ニール・ブロムカンプ監督の処女作『第9地区』は、

劇場で2回、レンタルで2回、飛行機の中で1回、

合計5回見た大好きな映画。

 

同時期に公開されていた『アバター』とアカデミー賞争いをして、

結果的に『第9地区』は破れている。

たしかに『アバター』は「SF映画史」に残る作品だろう。

でも、『第9地区』は、ブログ主にとって、

「SF映画史」ではなく「SF史」に残る作品だと考えている。

 

さて、そのニール監督の第3作が、『チャッピー』だ。

映像的には、前作・前々作と同じで、既視感がバリバリある。

南アのスラムで攻殻類(エビとかメカ)を撮らせたら、

ニールの右に出るものはいない。

 

今回の甲殻類は、人工知能を搭載したロボット、チャッピー。

人間(の子供)のように成長していくが、

育ての親がギャングスタ(ギャングではない)。

純粋な心を持ちながら、不良街道を進んでしまい、

やがて大きな騒動に巻き込まれていく。

 

『第9地区』の黒人ギャング団長も怖かったけど、

今回のギャングスタも怖い。

南アの本物を連れてきてるんじゃないかと、毎回思ってしまう。

 

最初は怖かったギャングだが、

やがてアットホームな連帯意識が生まれる。

このあたり、話のもっていきかたがうまい。

 

また、アクションも健在だ。

今回も2足歩行の戦闘マシンが登場し、

いい感じにチャッピーの前に立ちはだかる。

なかなか、ハラハラさせられる。

 

全体てきには満足しているのだが、

話はやや強引なところがあったかな。

人の記憶(?)をハードディスクに移して、

それをロボットにインストールすれば人がロボットに慣れてしまうところは、

う〜ん、ちょっと「何だかなあ」という感じ。

その点、減点。

 

ニールの2作目『エリジウム』の時は、

かなり期待して観に行ったんだけど、やや期待はずれだった。

今回は、やや期待を下方修正して観に行ったから、

期待はずれということはないのだが、

『第9地区』の監督だ、という意識は消せないので、

いやでも少しは、期待してしまっていた。

その期待を超えたかというと、ぎりぎりセーフくらいの判定か。

 

また次回作に期待する。

 

 

 

『ジュラシックワールド』78点

www.jurassicworld.jp

 


【物語】★★★☆☆
【演技】★★★☆☆
【映像】★★★★☆
《合計評価》78点


良くも悪くも、素晴らしいアトラクションのような映画だ。


恐竜がなかなか登場せず、最初はちょっともどかしい。
でも15分くらい経過してからは、
たたみかけるような派手な展開が目白押し。
そのまま一気にラストまで息つく間もなく、
ハラハラドキドキの連続。
この手の映画に免疫のあるブログ主からすると、
「ほほう。よく考えて、丁寧に作ってあるな」
という感じなのだが、一緒に見た中学生の娘は、
「し、心臓に悪い・・・腰が抜ける・・・」
と、かなり衝撃を受けていた。
観る者をそこまで感じさせるとは、たいしたものである。

ただ、映画を総合芸術として捉えた場合、
物語性があるかというと、まあ、ないw
巧みな脚本で飽きない130分になってるが、
この映画の寿命も130分で尽きる。
つまり、興奮したという感触こそ残っても、
あとは忘却するのみ。
まあ、そういう割り切った映画も、いいと思う。

演技は特筆するものはないが、役者は地味だね~。
恐竜が主人公だから、これはわざとなんだろうけれど。
特にヒロインは地味というか、なんというか。

映像は期待通りのできばえ。
すばらしい。
けれど、20年前の第1作から進歩があったかと言えば、ないかも。
それほど『ジュラシックパーク』が当時すごかったわけだが、
それと比較するのは酷であり、意味がないので、
この点はそれ以上言及しないことにしよう。

いろいろ書いたが、一件の価値はある。

『ディアトロフインシデント』61点

movies.yahoo.co.jp

【物語】★★☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》61点

 

まあ、2時間それなりに楽しめる。

ただし、観終わってから「ああ、観てよかった!」と言える人は

ほとんどいないだろう。

ごまかしごまかし飛んで、軟着陸して、まあ、セーフ。

そんな感じ。

 

物語は、ディアトロフ峠事件という実際に起こった奇妙な事件をもとに、

ストーリーが進む。

ディアトロフ峠事件というのは、知らなかったが、ロシアの雪山で山岳隊が全員、

全裸であったり、抵抗の跡がなかったり、奇妙な死に方で死亡するという事件。

ブログ主は基本的に、メアリー・セレスト号事件とか、

この手のミステリアスな話は好きなので、この映画をレンタルで借りた。

 

この手の「実際に起こった未解決事件」を映画化するのは、勇気がいる。

「答え」はなく「解釈」するしかないのだから、異論が必ず出るからだ。

でも、人々の興味関心を惹くから、商品化はしやすい。

 

さて本作。

現代のアメリカ大学生のチームが、ディアトロフ事件のドキュメンタリーを作成するということで、物語が進む。

最初の1時間は、特に大きな事件もなく、ロシアの山に到着する。

このあたりは『世界の車窓から』みたいな感じ。

(あまり退屈はしない)

 

1時間あたりから、話が急展開する。

彼らが山に入り、彼ら自身に異常現象が起こり始める。

それを、仲間の誰かのいたずらだと思ったり、

なんとか不安をごまかしながら、彼らは雪山の目的地に進む。

 

このあたりは、なかなかスリリングに見れる。

(ただし薄々、「これ、納得できるオチはあるのかな」という心配もしはじめる)

 

後半に入ると、急展開になる。

それまで、比較的低予算映画、というかインデイーズ映画のノリだったのが、

急にハリウッドSF映画みたいに、いろいろ起こる。

このあたりは、レニー・ハーリン監督お手の物。

 

で、ある程度の、、、、、

ほんとに、ある程度の「解釈」が示されるが、

力技感が半端ない。

そして、強引な割には、それでもまだ筋が通っていないような気がするが、

そこはもう、CGとモンスターでゴリ押しするw

そして、なんとかオチがつく。

 

ん〜。

見て損した、とか、腹が立った、というのはないかな。

勢いに押し切られてよくわかんなかったけど、、、ま、いいか。

そんな映画。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アントマン』69点

marvel.disney.co.jp

【物語】★★★☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》69点

 

まあ、それなりに楽しめる。

大きな失点はないが、大きな加点もない。

もう少し期待していたが、そこには及ばなかった。

 

映像的には、特に斬新なものはない。

何十年も前の『ミクロキッズ』とほぼ同じ。

サイズを任意で変更できる点など、もう少し面白いのかな、と思っていたが、

わりと普通だった。

 

物語も、まあだいたい想定内。

とりたてて書くこともないのだが、

気に入らなかったところと、気に入ったところが、一つずつある。

 

まず気に入らなかったところ。

アベンジャーズの一人が登場するのだが、あれはどうなんだろ。

アベンジャーズフアンにしてみれば、

「夢の対戦だ」「コラボだ」と思うのかもしれない。

でもアベンジャーズを知らない人にしてみれば、「何あれ?」。

映画単体の完成度としては、下がった気がする。

 

気に入ったところ。

アントマン」は「蟻くらい小さい男」だと思っていたが、

「蟻を仲間にして戦う男」だという物語だった。

これは映画を見るまで知らなかったのだが、

意外にここの要素がおもしろかった。

少し、ほろりとさせてくれる。

 

総括すると、まあ、CMがおもしろそうだったけど、

だいたい面白いところは、そこで全部だった、という感じか。

 

「意外に面白かった!」と書きたくて見てみたのだが、

意外性はあまりなく、まあ、思った通りか、それを微妙に少しだけ、

ほんの少しだけ下回るくらいの作品だった。

無難に楽しめるよ。

 

 

 

 

 

 

『ピクセル』67点

bd-dvd.sonypictures.jp

 

【物語】★★☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

《合計評価》67点

 

もともとクリス・コロンバス監督の映画は、あまり好みではない。

ホームアローン」や「パーシージャクソン」など、

やや「おこちゃま向け映画」と言わざるを得ないからだ。

それがダメだ、というのではなく、私が好きだないということ。

だから、この監督の作品はお金を出して見たことがない。

いつも、地上波待ちだ(そして、地上波で放映しやすい監督&作品なのだ)

ただ、今回はテーマに惹かれたのでツタヤで借りた。

テーマはゲームである。

 

この映画は、いま40代の人間を狙い撃ちにした映画である。

学生の頃にインベーダーゲームが生まれ、

ゲームセンターやファミリーコンピューターとともに少年期を過ごした、

まさに私の年代にどハマりのテーマ。

 

ギャラガギャプラスギャラクシアンの違いが即座に言える人は、

間違いなくこの映画を見るのではないだろうか。

 

で、そんな「狙い撃ち」された世代がこの映画を観た感想だが、

「まあまあ、楽しめた」。

映画としては、いわゆる「おばか映画」に属するコメディで、

真剣にストーリーを追うようなものではない。

アダム・サンドラーの演技も、なかなか笑わせてくれるし、

クリス・コロンバスもさすがこの手のベテランで、

ツボをおさえながら、テンポよく映画を作っている。

 

ただ、基本的には馬鹿さ加減を楽しむ映画なので、

あまり高得点をだせる代物ではない。

ましてや、「世代」から外れた人がみたら、なおさら得点は低いだろう。

「何が面白いの?」となるかもしれない。

 

個人的には、いまから30年以上も昔、

西友の屋上にあったゲームセンターに、

50円玉を何枚か握りしめて通っていたことを思い出し、

郷愁に浸れた。

 

それだけで70点以上の価値は個人的にあるのだが、

一般的な評価はもう少ししただろうと思い、3点、減じておく。

 

 

 

『オデッセイ』89点

www.foxmovies-jp.com

【物語】★★★★☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★★

《合計評価》89点

 

横綱相撲、とはこのことだろう。

世界最高峰の監督の一人、リドリー・スコットが、

すばらしい脚本に恵まれたなら、

至福の120分感が生まれる。

まさにこの映画がそうだ。

盤石の取り組みで、文句のつけようがない。

 

ストーリー展開は、ロン・ハワード監督の『アポロ13』と同じだ。

宇宙に取り残されたクルーが、知恵と科学と行動で、地球への帰還を目指す。

殺風景な火星を舞台に、一人悪戦苦闘するマット・デイモンを映すのだが、

知的冒険が小気味よく繰り広げられ、まったく飽きない。

主人公と一緒に、喜び、落胆し、ドキドキし、

火星脱出ゲームを楽しむことができる。

また、NASAを始め、地球や、ヘルメス(宇宙母艦)の仲間たちの活躍も頼もしい。

ショーン・ビーンが渋い役柄を演じている)

 

映像美は、さすがリドリー・スコットと言うべき。

前作『プロメテウス』は映像美しかなかった残念な作品だったが、

今作は、脚本がよく、作品完成度が高い。

SF映画として、パーフェクトと言っていいだろう。

 

こういう映画を見ると、日本はSF映画に関して、歯が立たないと言わざるを得ない。

映像や予算の問題以前に、脚本(原作)の問題。

科学的博識を兼ね備えた作家が日本にいるかといえば、

小松左京以降、やや、小粒と言わざるを得ない。

これは、映画の問題というより、作家の問題か。

 

さて本作に、あえてケチをつけるとしたら、

あまりにも見事な決まり手で横綱が勝ってしまったことだろう。

鬼気迫る何か、あるいは心のひだにひっかる何かは、この映画には特にない。

スパン!と一瞬で完勝だ。

相撲でも、こうした取り組みは、えてして名勝負とはならず

記憶に残る取り組みにはならない。

 

そんなことでケチをつけるのは我ながら意地悪だが、

たとえば『2001年宇宙の旅』や、

同じリドリー・スコッとの『ブレードランナー』や、

最近の宇宙ものなら『月に囚われた男』などは、

鑑賞した後々まで、見たものを、その世界に呼び戻す、

何かを持っている。

それが『オデッセイ』にあったかというと、ないかもしれない。

 

ただ、それは「あえてケチをつけるなら」レベルの話。

誰にでもお勧めできる、すばらしい映画であることは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『インターステラー』67点

【物語】★☆☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★★

《合計評価》67点

 

思い切って低評価をつけた。

でも実は迷いがある。

私の友人、尊敬する先輩、家族が、

全員一致で「傑作だ」と評価しているからだ。

彼らより何倍も映画を見ている自負があるのだが、

何か大事なことを見逃しているような気もする。

でも、本心から、この作品にはがっかりしたので、

正直に低めの評価にする。

 

実は相当、期待して見に行った。

クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』は超傑作だと思うし、

インセプション』もかなり面白かった。

インターステラー』も公開前から話題になっていたし、

ひさびさに本格的なSF映画が、つまり、

トランスフォーマー』や『スタートレック』のような、

ヒーローアクション映画ではなく、硬派なSF映画が堪能できると思い、

心待ちにしていた。

そして、上映から30分くらいは、「これは大傑作かもしれない」と、

幸福感に包まれていた。

 

・・・が。

しばらくすると、どうにも違和感というか、ひっかかりが出てきた。

最初は「気のせいだろう」「まあ、これくらいは大目に見よう」と、

自分に補正をかけてきた。

だが、半分くらい時間が過ぎたところで、とうとう観念した。

「この映画は、だめだ」という烙印を押さざるをえなくなった。

この映画は、脚本のツメがめちゃめちゃ甘い。

いや、ひょっとしたら最初から、収集がつかない話とわかっていたから、

確信犯的に、ツメの甘さはスルーして、勢いで撮りきったのかもしれない。

全体をとおして、ストーリーがひどいのだ。

 

事前に「話が難しいらしい」という噂は聞いていた。

相対性理論がわからないと理解できないとか。

でも、そういう高い次元の「脚本がひどい」ではないのだ。

中学や高校の学園祭で使う、学生が書いた脚本を、

ハリウッドの監督と資本で撮影した。

そんな印象を受けた。

 

たとえば科学者役のマイケル・ケインが、意味深な詩を何度も口にする。

どんな意味を持ってくるのだろうかと思って待ち続けたのだ、最後まで放置だ。

 

最初に訪れた惑星で1人死ぬのだが、最初からロボットが救助に行ってたら、

余裕で助かったのはバレバレである。

1つの惑星で1人ずつ殺していきたい、というご都合主義が見え見え。

 

主人公の娘が畑を焼くシーンも意味がさっぱりわからなかった。

ただでさえ貴重な食料を、なぜ燃やしてしまうのか。

しかも、燃やされた男は、怒りもせず泣いている。

 

一番笑ったのは、シャトルと宇宙ステーションのドッキングシーン。

狂った博士が爆破したせいで、宇宙ステーションとドッキングするための

プログラムが無効になり、シャトルの主人公は窮地に立たされる。

どうやってドッキング成功させるんだろう、とハラハラドキドキしていたら、

あっさりと車を縦列駐車させる要領で「あらよっ」とやってのけた。

 

とてもじゃないが、本格的なSFではない。

なんとなく、感動の超大作っぽくつくられた、御都合主義のB級映画だ。

正直、途中からは苦笑しながら見ていた。

幸い、映像はものすごいので、飽きることなく最後まで観れたのだが。

 

これが私の率直な感想だ。

ただ、冒頭での述べた通り、本作を「最高だ!」と評価する人が多いことも、

十分承知している。

 

非常に評価に戸惑う作品である。