ゼロ号試写室

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『新感染』83点 予想外にいいゾンビ映画!

shin-kansen.com

【物語】★★★★★

【演技】★★★★☆

【映像】★★★★☆

総合評価87点

 

ゾンビ映画好きとしては、「え? 韓国のゾンビ映画?」と最初は眉唾だったが、

海外でも評価が高いらしく、予告をやあらすじを見ても面白そうだったので、

あまり深く考えずに見ることにした。

川崎の映画館で最終上映の回、がら空きだろうという予想に反して9割席が埋まっていた。そういえば今日は1日、映画の日

半額で見るなら、外してもいいか。

そんな気持ちで見始めたのだが、ごめんなさい、なめてました。

面白かったです。

 

厳密にいうとゾンビ映画ではない。「28日後」や「アイアムヒーロー」と同じ、人が感染し、凶暴化する類のパニック映画。

娘を離婚した母親に合わせるため、ソウルから釜山に向かう超特急に娘と父親が乗るところから物語が始まる。日本で言う所の新幹線。タイトル「新感染」のセンスのなさが残念だが、原タイトルは「釜山へ」。こっちの方がかっこいい。

 

そして、この超特急というシチュエーションが素晴らしい。

古くは「オリエント急行殺人事件」、最近だと「スノーピアサー」など、電車を面白く使った映画は、本当にハラハラするし、面白い。本作もその例外ではない。

高速で走る列車内は、ある意味で安全地帯であり、ある意味で閉ざされた密室である。その使い方が巧みで、冒頭からラストまで緊張感が途切れることがない。

そして、ストーリーが明快だ。

設定こそ斬新だが、あまり余計な寄り道をせず、リニアに最後までズバッとエンタメを貫く姿勢は評価したい。途中でダレることもなく、素直にその状況を楽しめる、否、怖がれる。

役者もなかなかいい。

残念ながら誰一人知らないのだが、それぞれいい味出してる。

特におっさんたち。

これは、役者もさることながら、脚本がいいんだろう。全員の立ち位置というか、キャラ設定が明快で、途中で「なんでそんなことするんだ?」と首をひねることが少ない。

この手の映画には、主人公を危機に晒すために、足を引っ張ったり、反社会的判断をするキャラが不可欠なのだが、そこを上手くやらないとストレスが溜まる。この映画では、あまりストレスがたまらなかった。

 

映像も迫力がある。

相当お金と人員を動員したのではないか、列車や駅をうまく使い、スケールの大きな絵になっている。ハリウッドにも負けていない。

観る前は、「韓国映画ってグロいだけかも?」という偏見もあったのだが、そのあたり、絶妙に「汚くない」仕上がりになっている。血は出るし、怖いんだが、汚くない。「アイアムアヒーロー」の方がむしろ汚かったなあ・・・

 

ゾンビ映画を真面目に、かつ、創意工夫を凝らして作った良作である。

見てよかった。