『ローグ・ワン』84点
【物語】★★★★☆
【演技】★★★★☆
【映像】★★★★☆
《総合評価》84点
正直「微妙かもなあ」と思って観にいったのだが、
個人的には「エピソード7 フォースの覚醒」より面白かった。
もう少し褒めると、歴代SW作品の中でも上位に入る面白さだった。
「そんなバカな」と思われるかもしれないが、そう考える理由は、後で3つ説明する。
まず最初に断っておくと、この作品は下駄を履いている。
言うまでもなく、これまでのSW作品が作り上げた世界観があっての、スピンオフ作品なのだから、その財産の上に成立する映画だ。
だから「物語」にしても「映像」にしても最初から有利なスタートラインに立っている。
でも、うまく作らないと、単なる便乗作品となるだろう。
本作は、そうなっていない。
うまく、財産を生かしつつ、オリジナリティも出し、
単品で優れた娯楽作品になっている。
物語は、SW1作目(エピソード4)の冒頭につながる有名なエピソードが下敷きになっている。
レイア姫が手にし、R2D2に託し、ルーク・スカイウオーカーが手にする「デススター」の設計図。SW1作目で大きな役割を果たしたこの設計図をめぐるストーリーだ。
この設計図を、「ローグ・ワン」と言う愚連隊が入手するために死闘を繰り広げるのだが、デススターの脅威を観客の多く(全員?)が知っているだけに、この展開見ていて盛り上がる。
なお、このローグ・ワンは、正規軍ではなく、いわば、はぐれものの集団。それが、各々の使命感、覚悟から、帝国に挑む様は、ワクワクしてしまう。
映像は、いつものSWクオリティだから見ていて安心である。
白兵戦、宇宙艦隊戦、どれも迫力満点だ。
出番は少ないが、ダース・ベイダーの存在感、無双感もえげつない。
ある意味、「脂の載った」ベイダー卿の強さは、心胆寒からしめる。
演技は、少し甘めにつけて星4つ。
フォレスト・ウィテカーとドニー・イエン以外は割と地味な配役(いや、この2人もそこそこ渋い存在)だが、皆、うまく「無名の戦士」を演じている。
変に浮いた登場人物がいないのは、演出や脚本のおかげであるが、
役者の演技力も、それに貢献しているだろう。
最後に、本作が本家本流の「エピソード7」より優れていると思った理由を3つ述べる。
その1。
SWという財産の使い方がうまかった。
安易に有名キャラクターを登場させたりしなかったのが潔よい。
世界観は使い倒しつつ、ストーリーのオリジナリティを毀損していない。
「エピソード7」は、それが「売り」とは言え、昔の有名人を総登場させ、それでポイントを稼いだ感じがある。
オールドフアンとしては、確かに嬉しいのだが、やや安易さは否めない。
その2。
「その1」と少し関係するが、ストリートして「続編」が想定されていない。
1つの映画作品として「ローグワン」は完結しているのだ。
これは個人的には評価できる。
「エピソード7」は、確かに楽しめる映画だが、「あと2作続くよ」という前提があるので、映画単体として評価しづらいのだ。面白いのかそうでないのかは、あと2作見てみないとなんとも言えない。
その点「ローグワン」は、これ1作で「終わらせている」。
映画としての魅力が成立しているのは、こちらに軍配があがる。
その3。
変に、商品化を狙ったキャラクターがいなかったのが、好ましかった。
これは、必ずしも「だめ」というわけではないが、例えば「エピソード1」のジャージャーフィンクスや、「エピソード7」のBB8は、ある程度商品化を想定したものではないかと勘ぐってしまう。そういうことに気づくと、ブログ主は、萎えるのだ。
その点、「ローグワン」のキャラクターは、総じて「華がない」。
そこが素敵。
色々な人のレビューを見ていると、前半がだるい、などの意見も聞かれる。
思い返してみると「そうかも」と思わないでもないが、
ブログ主はめちゃめちゃ楽しめたので、何がともわれ、一度見て欲しい。