『バットマン VS スーパーマン』63点
【物語】★★☆☆☆
【演技】★★★☆☆
【映像】★★★★☆
《合計評価》63点
『バットマン』や『スーパーマン』的な映画を期待して観に行くとつらい。
同じザック・スナイダー監督の『300』を期待して観に行ってもつらい。
「どんな映画なのか」と聞かれれば、一番近いのは『ウオッチメン』だ。
『ウオッチメン』は、みんなが楽しめる娯楽作品ではなく、
どちらかというとカルト的な映画。
ブログ主は、実はまあまあ『ウオッチメン』が好き。
やや長く、多少たいくつするところもあるが、
正義のヒーローのドロドロの側面を活写した映像は、
なかなか新鮮で、興味深かった。
友達や彼氏彼女と観に行ったらお互い気まずくなること請け合いの微妙な映画だが、
映画好きが一人でじっくり観るなら、それなりに楽しめる。
じゃあ『バットマン VS スーパーマン』(以後『B V S』と呼ぶ)も、
もう少し評価を高くしてもいいのではないか。
と思われるかもしれないが、それはできない。
『ウオッチメン』は完全に「観る人を選ぶ」映画と割り切って作られた作品だが、
『B V S』は、中途半端に「メジャーな映画」っぽい作りになっている。
裏を返せば、「まだるっこしくて重苦しいアクション映画」になっている。
「変に理屈っぽくて、暗い、アベンジャーズ」のような作品だ。
最初はいい感じかな、と思った。
この手の「vs」系映画は、『エイリアンVSプレデター』にしろ、『ジェイソンVSフレディ』にしろ、たまたまそこに居合わせて激突するなど、とくに思想や信条はなく、「強いもの同士が出会ってしまった」ことで物語が進む。
それに比べると今作は、「スーパーマンの大きすぎる力」をどう捉えるか、
人類や、もう一人のヒーローであるバットマンが、扱いあぐね、葛藤する。
そして両ヒーローは、思想的にぶつかる。
これはなかなか、いい試みだと思った。
でも、そこからの話の展開が、いまいちスキッとしない。
しかめっ面した根暗なヒーロー二人の、うじうじ、うじうじが続く。
本当の(?)悪役であるレックス・ルーサーも、いまいち分かりにくい立ち位置。
何がしたいのかよくわからないまま、なんとなく、地球を支配しようとしている。
このあたりは、脚本が悪いのだろう。
バットマンとスーパーマン、どちらが勝つのかはネタバレになるので言わないが、
「なるほど、そうきたか!」というよりは「ん〜、そうか〜、う〜ん」という感じ。
映像的には、そこはザック・スナイダー、さすがだ。
どこを切り取ってもPVに使えそうな綺麗な映像。
アクションシーンも、大迫力。
でも、アクションシーンの半分くらいはネットの予告編ですでに流れている。
それ以上のすごいものは、あんまり出てこない。
ラスボスも、なんか典型的な「凶悪モンスター」で、新鮮さはゼロ。
う〜む。
演技的には、主役の二人は、とりたてて言うことはなし。
終始苦虫を噛み潰したような、暗い表情。
ダイアン・レインは最初、気づかなかったが、年取ったね。
ジェレミー・アイアンズは、いい感じ。さすがアカデミー俳優。
ローレンス・フィッシュバーンは、まあ、いつもの通りか。
あと、これは個人的な印象だが、
半裸のアマゾネスが盾と剣を持って参戦する(しかもメチャメチャ強い)のは、
どうにもコントに見えてしまう。
米国人にとっては許容範囲なのかもしれないが、正直、しらけた。
というわけで、「アクション映画」としてはまだるっこしく、
「カルト映画」としては、深さが全然足りていない、
非常に中途半端な作品になっているような気がする。
ただし。
ブログ主が映画館を出る際に、小学生くらいの男の子が母親に、
「今までみた映画の中で一番感動した」
と言っていた。
どこをどう見れば感動できるのかブログ主には見当もつかないが、
そういう少年がいたことは、付記しておこう。