『アメリカンスナイパー』85点
【物語】★★★★☆
【演技】★★★★☆
【映像】★★★★☆
《合計評価》85点
クリント・イーストウッドは、現時点で世界最高峰の監督である。
少なくとも、私にとってはそうだ。
近年のイーストウッド監督の作品は、どれをみてもハズレがない。
毎回感動し、感嘆する。
『アメリカンスナイパー』もそうだ。
本来、このテーマは、「社会派」映画になりがちだ。
そして「社会派」映画は、時として説教くさい、あるいは冗長な映画になりがちだが、そこはイーストウッド監督、見事なエンターテインメント映画として成立させている。
ストーリーがハラハラさせられることはもちろん、
画像(え)作りが非常にかっこいい。
戦闘シーンだけでなく、戦士の休息の場面も見ていていて飽きない。
あと、演技。
ブラッドリー・クーパーだけでなく、本当に兵士のようだ。
民間人の演技もいい。特に奥さん。
ラストシーンで夫を送り出す時の、あの奥さんの不安そうな様子と、気持ち悪い(良い意味で)カット割りは、その後の展開を、語るともなく語っていてすばらしい。
メッセージとしては、必ずしもアメリカ軍礼賛ではない。
現地兵の蛮行が描かれているが、アメリカ軍も割と平気で子供を狙撃する。
イーストウッドは、「そこにある現実」を描くことに徹し、
どちらかに肩入れすることはない。
娯楽作としても、いろいろ考えさせられる社会派ドラマとしても、一級品だ。