ゼロ号試写室

映画やDVDの感想。たまに初音ミク&仕事の雑感他。

『セッション』86点

 

【物語】★★★★☆

【演技】★★★★☆

【映像】★★★★☆

《合計評価》86点

 

これは思わぬ拾い物。

監督も役者も存じ上げぬし、予算をかけたスケールの大きな大作でもない。

しかし、上映時間のいかに濃厚なことか。

シンプルで、芯があって、映画としての質が高い。

 

物語は単純で、ある音楽学校を舞台とした、ドラマーと、その師の物語。

ある時は信頼し、ある時は憎しみ、二人の関係が刻一刻と移ろう様が、

非常に雄弁に人間模様を語り、観るものの心を掴む。

音楽家になるためにはこうした世界を経る必要があるのか、と新鮮であるし、

プロフェッショナルの世界の、ある種の怖さも体験できる。

 

何より、随所に出てくるドラム演奏がかっこいい。

鬼気迫るドラムは、ライブではない(映画なので)のに、息を飲む迫力だ。

CGではないと思うが、この主演は、ドラムができるから主演に選ばれたのだろうか?

 

ハリウッドの超大作には、実は最近食傷気味だが、

こうした作品を生み出せる土壌があるあたり、やはりその底力は感嘆する。

非常におすすめ。