ゼロ号試写室

映画やDVDの感想。たまに初音ミク&仕事の雑感他。

『インターステラー』67点

【物語】★☆☆☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★★

《合計評価》67点

 

思い切って低評価をつけた。

でも実は迷いがある。

私の友人、尊敬する先輩、家族が、

全員一致で「傑作だ」と評価しているからだ。

彼らより何倍も映画を見ている自負があるのだが、

何か大事なことを見逃しているような気もする。

でも、本心から、この作品にはがっかりしたので、

正直に低めの評価にする。

 

実は相当、期待して見に行った。

クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』は超傑作だと思うし、

インセプション』もかなり面白かった。

インターステラー』も公開前から話題になっていたし、

ひさびさに本格的なSF映画が、つまり、

トランスフォーマー』や『スタートレック』のような、

ヒーローアクション映画ではなく、硬派なSF映画が堪能できると思い、

心待ちにしていた。

そして、上映から30分くらいは、「これは大傑作かもしれない」と、

幸福感に包まれていた。

 

・・・が。

しばらくすると、どうにも違和感というか、ひっかかりが出てきた。

最初は「気のせいだろう」「まあ、これくらいは大目に見よう」と、

自分に補正をかけてきた。

だが、半分くらい時間が過ぎたところで、とうとう観念した。

「この映画は、だめだ」という烙印を押さざるをえなくなった。

この映画は、脚本のツメがめちゃめちゃ甘い。

いや、ひょっとしたら最初から、収集がつかない話とわかっていたから、

確信犯的に、ツメの甘さはスルーして、勢いで撮りきったのかもしれない。

全体をとおして、ストーリーがひどいのだ。

 

事前に「話が難しいらしい」という噂は聞いていた。

相対性理論がわからないと理解できないとか。

でも、そういう高い次元の「脚本がひどい」ではないのだ。

中学や高校の学園祭で使う、学生が書いた脚本を、

ハリウッドの監督と資本で撮影した。

そんな印象を受けた。

 

たとえば科学者役のマイケル・ケインが、意味深な詩を何度も口にする。

どんな意味を持ってくるのだろうかと思って待ち続けたのだ、最後まで放置だ。

 

最初に訪れた惑星で1人死ぬのだが、最初からロボットが救助に行ってたら、

余裕で助かったのはバレバレである。

1つの惑星で1人ずつ殺していきたい、というご都合主義が見え見え。

 

主人公の娘が畑を焼くシーンも意味がさっぱりわからなかった。

ただでさえ貴重な食料を、なぜ燃やしてしまうのか。

しかも、燃やされた男は、怒りもせず泣いている。

 

一番笑ったのは、シャトルと宇宙ステーションのドッキングシーン。

狂った博士が爆破したせいで、宇宙ステーションとドッキングするための

プログラムが無効になり、シャトルの主人公は窮地に立たされる。

どうやってドッキング成功させるんだろう、とハラハラドキドキしていたら、

あっさりと車を縦列駐車させる要領で「あらよっ」とやってのけた。

 

とてもじゃないが、本格的なSFではない。

なんとなく、感動の超大作っぽくつくられた、御都合主義のB級映画だ。

正直、途中からは苦笑しながら見ていた。

幸い、映像はものすごいので、飽きることなく最後まで観れたのだが。

 

これが私の率直な感想だ。

ただ、冒頭での述べた通り、本作を「最高だ!」と評価する人が多いことも、

十分承知している。

 

非常に評価に戸惑う作品である。