『ジュピター』45点
【物語】★☆☆☆☆
【演技】★★☆☆☆
【映像】★★★☆☆
《合計評価》45点
もし「今まで映画を観たことがない」という人が観たら、かなり面白い映画だと思う。
しかし、そこそこ映画が好きな人からすると、ちょっと許せないレベルの映画。
なぜなら、どっかで観たような筋書きや演出の寄せ集め映画だから。
TSUTAYA限定の日本未公開ビデオだったら、拾い物という評価もできる。
でも鬼才ウオシャウスキー監督の映画という期待をして劇場に行った身としては、
「え? え? これ真剣に撮った? というか、撮りたかったのこれ?」
と言いたくなる。
30年以上前に『スターウオーズ』が生まれて、20年くらい前にリュック・ベッソンが『フィフスエレメント』を撮ってるけど、コンピューターグラフィックス以外進化が観られない、というか、退化してるよね。
ヒーロー、ヒロインも、なんだかいまいち。
テリーギリアムが出てるけど、あそこのくだり、そもそもいらないよねw
なんでこんなことになったのか。
たぶん、確信犯だ。
かつてイビチャ・オシムは、母国の代表チームを率いていた際に国民から「なぜあの選手を使わないのだ」と抗議を受け、一度、国民の声に忠実にチーム編成をし、戦ったという。
結果は惨敗だったそうだ。
それからは、国民はオシムのチーム編成に、何も言わなくなったらしい。
この映画も、ウオシャウスキーが我々映画フアンに投げかけたメッセージだ。
本当は彼(彼女)は、『クラウドアトラス』みたいなのが撮りたい。
でも、それをやると「難解だ」「楽しい映画にしろ」と言われる。
そこで「じゃあお前ら、これでいいんだな」と、なかばヤケクソ気味に撮ったのが、
この超大作『ジュピター』に違いないww
スポンサーも観客も、二度とウオシャウスキーに「エンタメ映画を撮れ」と言えないだろう。
まあ、これは私の脳内妄想に過ぎないが、そうあってほしい、とは思う。
『マトリクス』でSF映画の新しい次元を切り開いた才能が、本気で取り組んで、
こんなものしか撮れなかったのだとしたら、その方が何倍も悲しいのである。