『クーデター』88点
【物語】★★★★☆
【演技】★★★★☆
【映像】★★★★☆
《合計評価》88点
あまり知られていない映画だがおすすめ。
特に、70〜80年代の米国パニックムービー、デイザスタームービー好きには。
映画の面白さの原点に立ち返ったような作品。
ストーリーはわかりやすい。
東南アジアの某国に家族とともに転勤でやってきた白人が主人公。
着任早々、その国で政府が転覆し、外国人排斥の暴動が起こる。
搾取されてきた現地住民は、外国人狩りを始める・・・
非常にシンプルで、なおかつ力強い怖さを内包したストーリーだ。
実際、中国で日本の百貨店が焼き討ちされた事件が起こったが、
こうしたリスクは、決して絵空事ではない。
悪の軍団や怪物が敵なのではない。
ある国の住民全部が、脅威となるのだ。
『ブラックホークダウン』や『ホテルルワンダ』の怖さに通じるものがある。
逃げ場がなく、しかも、ゾンビのごとく、殺意をもった敵が四方八方から襲いかかる。
さらに家族同伴であれば、絶望的な逃避行劇は避けられない。
ギリギリの脱出劇が全編にわたって繰り広げられ、ハラハラしっぱなしである。
ピアーズ・ブロスナンが、いい感じの役柄で絡んでくるのだが、彼の演技も素晴らしい。ボンド以外に、こういう役も演じられるんだなあ。
終わり方も、すばらしい。
大爆発で一件落着、ではなく、地味に、切実に、ゴールを迎える。
アクション映画ではなく、社会派映画を貫こうと頑張ってる姿勢がよい。
テーマといい、役者といい、大ヒットするような映画ではないが、
非常に楽しめる秀作だった。