『パシフィック・リム:アップライジング』は前作比60%くらいの出来
【物語】★★☆☆☆
【演技】★★☆☆☆
【映像】★★☆☆☆
《総合評価》48点
ブログ主は『パシフィック・リム』をこれまで4回見た。
2回は劇場で、2回はレンタルビデオで。
それくらい好きなのだ。
ギレルモ監督作品なら『パンズラビリンス』や『シェイプオブウオーター』の方が後々映画史に残る可能性は高いが、そんなことはどうでもいい。
『パシフィック・リム』が好なのだ。
色々不満点もあったが、よくぞこのテーマを、このクオリテイで撮ってくれたと、いくら感謝してもし足らない大好きな映画。
その続編である。
わかってる。
続編であり、監督も代わった。
期待しすぎるのは酷である。
だから、それほど期待値を高めず、「まあ見ておこうか」くらいで鑑賞した。
結論から言うと、前作の70%くらいを期待していたが、それより少し下回る。
甘めに採点して、前作の60%くらいの出来。
ストーリーは、あってないようなもの。
怪獣が出る、巨大ロボとバトル、以上(笑)
これは前作も基本的に同じだった。
(実は怪獣以外の敵としてロボも出てくるが暴走したエヴァみたいなもの)
やや前作と異なるのは、少し、コメディ要素が多めになったこと。
特にスクラッパーという新イェーガー。
スターウオーズのBB8的な、マスコット的巨大ロボ。
ん〜。
前作は、比較的真剣味があるというか、悲壮感が少し漂ってたよね。
チェルノフ・アルファがやられるシーンなんて、怖かったし。
それに比べると、今回は、やや世界観や戦闘に緊張感が足りない。
そもそも巨大ロボと怪獣が戦う時点で緊張感もくそもないと言われればそれまでだが、
前作では、それでも、シリアスな空気感を少し残していた。
それが、かなり薄れて、悪い意味で漫画的な雰囲気が強くなったというか。
より万人ウケするにはそのほうがいいかもしれないが、俺的には残念。
演技は、主演のジョン・ボイエガは流石の演技。
今一番ノリに乗ってるだけあって、安定した演技。
他はな〜。
特に特筆するものはなかった。
映像は、前回から一ミリも進化していないと思う。
技術的な進歩はなく、むしろ工夫は減ったのではないか。
あまり巨大感が感じられない。
まあ、続編だから、最初のインパクトよりは感動が少ないことは織り込み済みだが、
それでも、巨大感が少ない。
おそらく、カメラワークや演出上の工夫も足りないのだろうが、
もう一つ大事な点がある。
おそらく、前作よりヌルヌルと巨大ロボが動くのだ。
前作の、巨大ロボのぎごちなさは、もどかしくも魅力的だった。
「こんなデカイものが動くなら、かくあるべし」という、重厚感のある動きだった。
それに比べると今回のイェーガーは、かなりスムーズに動く。
こうなると、巨大メカ感が、少なくともブログ主からみれば、失われるのだ。
特に、先に述べたスクラッパー。
詳細は述べないが、このメカの動きは、パシフィック・リムというより、トランスフォーマーである。
トランスフォーマーは、ブログ主はそんなに好きではないのだ(笑)
前作よりパワーアップして、より派手なアクションになって入るのに、
なんだかトランスフォーマーやパワーレンジャーを見せられている感じ。
この路線が続くなら、第3弾があっても、見ないかもしれない。
『スター・ウオーズ/最後のジェダイ』45点/この映画に幻滅する理由ベスト3
【物語】★☆☆☆☆
【演技】★★☆☆☆
【映像】★★★★☆
〔総合評価〕45点
あと1週間で上映終了というタイミングで鑑賞。
映画館で観てよかった。
家でビデオで観たら、もっとつまらなかったかもしれない。
以前から「賛否両論」と耳にはしていた。
いや、「否」の声の方が大きかった。
なのでそれほどダメージは受けていない。
答え合わせをしに行ったようなもの。
では、この映画のどこがダメなのか、自分なりにその理由を上位3つ整理してみる。
3位 キャストがしょっぱい。
前作同様、確かにレジェンド級の役者を揃えて一見豪華絢爛である。
だが、よく考えてみるとそのレジェンドも、まともに稼働していた唯一のレジェンドであるハリソン・フォードが出なくなると、正直言って威力は半減である。
マーク・ハミルは、悪くない。
前作が「ハン・ソロ」の映画だとしたら、今作は「ルーク・スカイウオーカー」の映画、という位置づけも、設計されたものだろう。
だが、所詮はおじいさんだ。
ソロもルークもレイアも、豪華な味付けになり得ても、正直限界はある。
この映画が最初からオールドフアン、しかも定年後の世代を意識して作ったのなら老人映画も悪くないが、そうではないだろう。
なのでレジェンド級の三人は、頑張ってはいるが、話題性以外は正直微妙。
(今回はソロは出てない)
一方、本来であればこれらロートルを駆逐するくらい頑張ってほしい若手(現役)組が、いまいちパッとしない。
前作からもともとパッとしないキャスティングなのだが、今回、謎のアジア女性が出てくることで、なおさらパッとしなくなった。
まともに見れたのはフィン(ジョン・ボイエガ)くらい。
カイロ・レン(アダム・ドライバー)は、役所のせいか、微妙。
あとはひどい、というより、華がない。
特に心配になったのは主役たるべきレイ(デイジー・リドリー)。
前回はまだ少女の面影があって華があったが今回は普通のオバ、いや、女性だった。
3作目ではもっと歳を取ってしまうから、さらに微妙になると思う。
2位 トンデモシーンが多い。
これはいろんなところで言い尽くされているので重複を避けるためにサラッと述べる。
宇宙空間なのに爆弾が下に落ちてくる、という名ツッコミ所があるが、
そこは「いや、たまたま下に落ちてるように見えるだけ」と言い訳できるだろう。
ここは許容する。
でもレイアが生身で宇宙空間に放出されて、念力で生還したのは見逃せない。
普通に怪我しただけでいいのに、なぜあんな意味不明のシークエンスを入れた?
感動も、伏線も、意味もない。
あと、ルークが突如反乱軍の前に現れるが、実はホログラム(念力)だったこと。
これも「ルークはどこから来た?」なんて言って、そのルートを使って反乱軍は脱出するんだけど、ホログラムだから関係ないじゃん(笑)
脚本的に破綻してるんだよね。
こうしたツッコミどころのシーンが多い。
1位 話が浅い
まあ、全てはこれに尽きるのかな。
スターウオーズは、もちろんヒーローの活躍も楽しめるが、
そのヒーローが活躍する舞台、つまり世界観や、勢力争いにリアリティや重層感があったからこそ、楽しめた。
が、前作と同じで、イマイチこの世界観がわからない。
ガジェットは同じなんだけど、今世界で何が問題で、何と戦っているのか、
非常に表層的で、子供騙し。
仮面ライダーレベルだ。(※ブログ主はライダーフアンである。適材適所でない、という意味)
アクションシーンだけ見たいんだろみたいな姿勢が製作陣にあるのかな。
最初の3部作でもうまく世界観を出していたし、
次の3部作は、ややその世界観を出しすぎた感もあるが、私は好きだった。
ローグワンも、うまく作られていた。
だが、今回の新3部作は、何やら薄っぺらい。
哲学がない。
だからイマイチ、盛り上がるものがないのだ。
まあ、正直これらのことは、前作から薄々気づいていた。
ただし前作では、ハン・ソロがいたり、「スターウオーズがつまらないはずはない」という先入観もあって、そんなに悪い評価がつかなかったのだろう。
しかし今作で、かなり馬脚をあらわした。
次作(最終作)は、相当シビアな目で見られるだろう。
『ゴジラ 怪獣惑星』は予想外に良かった 77点
【物語】★★★☆☆
【演技】★★★☆☆
【映像】★★★★☆
〔総合評価 77点〕
時は本日午後6時40分。
チネチッタ川崎のスクリーン8(五百人収容)で見たのだが、
3分前に劇場に入った時、一瞬、無人だったので清掃中かと思った。
よく見ると三人座っていて、最終的に私を含めて五人での鑑賞。
昨年、子供と『ガンバの冒険』(傑作!)を見た時は四人だったが、
あれはテアトル蒲田というかなり古い映画館。
チネチッタの綺麗でデカイ劇場で五人は、結構贅沢な体験だ(笑)
さてさて。
ブログ主は基本的にゴジラ好き。
今夏に、何かの映画を見た時に予告編で本作のことを知った。
ちょっと興味はあったが、本当に「ちょっと」だった。
別に見過ごしてもいいか、と。
で、今日仕事が早く終わり、何か見ようかと検索したところ、
本作に目が止まった。
あまり期待はしていないけど、ゴジラにお金を落とすのも宿命だと自分を納得させ、
軽い気持ちで見た。
それが良かったのか、非常に楽しめた。
ゴジラの出現で、一度地球を放棄した人型種族が再び地球への植民を試みる。
地球上にはやはりゴジラがいて戦いとなる。
人類以外の種族と共闘したり、少し最初戸惑うが、
基本的にはシンプルに「ゴジラをやっつける」話が続く。
物語自体は取り立ててよくも悪くもないのだが、非常にテンポよく話が進む。
上映時間は90分ほどで、最初は『ガンダム THE OLIGIN』みたいに中途半端なのではないかと危惧したが、密度が濃く、90分内で「これでもか」という迫力の展開を見せてくれる。
この辺り、見る人が見れば「ただのどんぱちじゃないか」というかもしれない。
贔屓目かもしれないが、私は単純に楽しめた。
演技は、まあアニメ(CG)だからなんとも言えないが、
下手に俳優や芸人を使わずしっかり声優を使ってくれていたので違和感なく楽しめる。
セル画ではなくCGであるため、ややアクションの自由度が低い気がするが、
それほど気にならない。
っていうか、もともとゴジラってあまり稼働しないから丁度いいのかも。
映像は白眉の出来。
CGはもっとチンケで安っぽくなるかと思ってたが反省。
めちゃめちゃかっこよかった。
特に宇宙船や兵器、通信手段などのテクノロジーの描写が気に入った。
脚本がしっかりしていることもあるのか、近未来感が出ていてクール。
実写でもない、アニメでもない、CGアニメがここまで迫力あるのか。
※ゴジラのCGは、ん、こんなものなのかな・・・
記憶にある限り、ゴジラのアニメは初の試みだ。
そして本作はアニメでよかった。
これを実写でやっていたら失敗していただろう。
まずこのスケール感が出せないし、貧乏たらしいものになるだろう。
そして、同時期に上映中の『鋼の錬金術士』のように日本人だけのキャストに。
最後のテロップを見ても、基本的には純日本産のアニメのようだ。
世界的に有名な日本初のコンテンツを、日本アニメの技術で作った本作は、
もっと多くの人に鑑賞されてしかるべきだと思う。
このシリーズは3部作らしい。
次回のフリにも、ブログ主は相当アガっている。
来年5月の公開が楽しみだ。
『ミックス。』69点
【物語】★★★☆☆
【演技】★★★☆☆
【映像】★★★☆☆
見て損はないけれど、見なくても全く問題ない。
一言で言い表すと、そんな映画。
ただし新垣結衣フアンなら必見の映画かもしれない。
(残念ながらブログ主は該当しない)
かつて母親にスパルタで卓球をやらされていて、15年も遠ざかっていた主人公。
それが、失恋とか、色々あって卓球を再開し、全日本選手権で決勝まで行く。
メインストーリーは、斬新さはないものの、それほど無理なく共感できる筋書き。
細かいところではツッコミどころは多い。
その最たるものは、「いかに元天才少女とて、15年もブランクがあり、元ボクサーで目をやられている素人を1年鍛えたからと言って、現役日本最強ペアに善戦できるのか」と言うこと。ただ、ここは「映画だから」と片付けるのが大人というものか。
また、その元ボクサーが工事現場の仕事で非力なことから「もやし」と呼ばれるのだが、仮にもランカーだったボクサーが非力という設定はどうなんだろうか。
そうした細かいツッコミはあるが、話自体は、まあ、面白い。
演技的には、さして特筆すべきものはなし。
特段うまいとも思わないし、下手だとか、やりすぎとかもない。
良くも悪くも普通。
広末涼子の役どころはちょっと面白かったが、演技力があるというほどではない。
これはしょうがないかもしれないが、
新垣結衣は卓球がうまそうに見えなかった。
映像も、演技と同じく、可もなく不可もなく。
卓球のシーンで言えば、『ピンポン」の水準を求めてはいけないかもしれないが、
もう少し凝った映像にトライして欲しいところ。
普通にカメラに収めた感が、味気ない。
どこかに大きな減点があるわけではないのは、監督と脚本の力量かもしれない。
アイドル(ガッキー)映画と割り切れば、映像やストーリーは添え物なので、
これくらいの出来でいいのかもしれないが、
一映画として考えた場合、やはり物足りなさは否めない。
一家団欒で無難に楽しく見れる映画であることは間違いないので、
及第点は与えておく。
木下恵介『花咲く港』『陸軍』、溝口健二『雨月物語』の感想
その名前と作品だけは学生の頃から知っていたけど、アクション娯楽映画しか興味のなかった私が一切関心を示さなかった溝口健二と木下恵介映画。
いい歳になったので、そろそろと思い3本観てみた。
結論から言うと、評判通り、私の想像以上の良作だ。
ただし、この歳(40代オーバー)だからこんなことが言える。
血湧き肉躍る映画が好みだった学生の私にはオススメしない。
黒澤を見ておけ。
『雨月物語』は、日本の古典映画の代表的な作品で、ベルリン映画祭金熊賞を取るなど、今なお世界的な評価の高い溝口作品だ。
しかしDVDのパッケージの解説を見るだけでも、全然面白そうじゃないなあと言うのがブログ主の正直な感想だったが、頑張って観て観た。
すると、意外に楽しめた。
ただし、なんだろう、「同監督作品をもう一回観たいか?」と問われれば、もういいかな。いい映画だけど、もうわかった的な・・・
古今東西に通用する普遍的なテーマを扱っているので世界でも評価されるのはわかるけれど、そして確かに観てよかったと思うけれど、なんと言うか、国語の授業で先生に無理やり見せられるような映画だな。
伝説の女優、田中絹代をきちんと観たのも初めて。特段美人とは思わないけど、日本的な女性の代表なんだろうな。
『花咲く港』は、木下監督デビュー作らしいが、こちらは愉快な人情コメディだ。
『男はつらいよ』が好きなら楽しめるだろう。
ただ、あまり「過去の名作」として紹介されないであろう理由もある。
やや右寄りな場面、率直に言うと、「鬼畜米英に負けるな」「お国のために戦って死ね」的な描写が、ところどころ出てくるのだ。
ブログ主はその辺りでヒステリーになる性格ではないので「やっぱり当時はそうだったんだなあ」くらいにしか思わないが、現代の学校教育でこの手の作品を生徒に見せることはまずもって無理だろう。
『陸軍』は、さらに国威啓発映画と言うか、軍賛映画である。
病弱な男が、軍隊で活躍できないことを嘆く映画である。
ただ、観ていて退屈はしなかった。
当時、世の母親は(少なくとも主役の母親を演じる田中絹代は)「子供は国の宝。それを預からせてもらっている」「立派に兵隊になることができて、ホッとしている」と思っていた、あるいは、そう言わなければならない空気があったのだなあ。
同じ日本でも、全く異国のように感じた。
なお『陸軍』は、戦意高揚映画に見せかけた、反戦映画とも言われている。
確かに、ラスト10分くらいまでは「いかにお国のために死ぬか」が登場人物全員の目的になっているのだが、最後の最後、はたと気づいたように、母の田中絹代が、出征する息子を追いかけるシーンがある。それまで、あれだけ誇らしく見送っていたのに。
その焦燥感、後悔、そうしたものをにじませた表情を見せるラストの田中絹代は、不覚にも美しいと思ってしまった。それまで、なんでこんなおばさんを評価するのだろうと不思議だったが、最後の表情でそれが全て理解できた。
名作と言われるのには、それなりの訳がある。
『ブレードランナー2049』84点
【物語】★★★★☆
【演技】★★★☆☆
【映像】★★★★☆
《総合評価》84点
往年の名作の、新作である。
観る前は心配していた。
『マッドマックス 怒りのデスロード』になるか。
『エイリアン コヴェナント』になるか。
果たして、心配は杞憂に終わった。
前者である。
つまり、良い続編であった。
前作から数十年後の舞台。
ストーリは、前作を見ていれば、より直感的に理解できるが、
前作を見ていなくても、そこそこSF映画慣れした人であれば理解できるレベル。
(ちなみにブログ主の隣に座っていた女性はチンプンカンプンだったらしく、隣の彼氏に逐一説明を求めていた)
鑑賞前に見たいくつかのレビューでは「退屈」みたいな書き込みがあり、「おいおい、ブレランはそもそもやや退屈な映画だろ? 何言ってんの?」みたいに思っていて、多少の退屈は覚悟して行ったのだが、約3時間、全く退屈しなかった。
さりとて、マイケル・ベイの映画のように爆発シーンとCGとアクションシーンのオンパレードみたいな安っぽい作りでもなく、非常にバランスの良い仕上がり。
しかも、脚本的にも好み。
ストーリーは観てのお楽しみだが、感情移入しやすく、心にしみる。
ブレードランナーの正当な進化系として受け入れられる。
演技は、個人的に大好きなライアン・ゴズリングが出ているだけでもう満足。
影がある主役をやらせて、これほどクールな男は今いない。
世界観にマッチしていて申し分なし。
ハリソン・フォードは、期待以上でも以下でもなし。
ただし、スターウオーズの新作と比べれば、ブレードランナーの新作の方が、個人的には好みである。
映像は、特筆すべきほどではないが、前作に負けじと頑張っている。
今のCG技術を持ってすれば、そんなに飛び抜けたレベルではないが、乾いた未来感が、これまた俺ごのみ。この世界観を構築したリドリー・スコットとシドミード、その世界観を受け継いだ本作に敬意を表する。
しかし、リドリー・スコットが監督するのではないと知った時にはやや心配したものだが、全くの杞憂だった。
むしろ、『エイリアン コヴェナント』を観たあとでは、リドリーが監督をしなくて本当によかったと思う。
『ドリーム』81点
【物語】★★★★☆
【演技】★★★★☆
【映像】★★★☆☆
《総合評価》81点
『ララランド』より米国では評価が高かったのに(アカデミー作品賞ノミネート)、
日本ではなかなか公開されなかったとの訳あり作品。
そりゃ、ライアン・ゴズリングも出ないし、『ムーンライト』のように実際にオスカーをとったわけでもなく、女性問題・黒人問題を扱った作品なんて、日本での興行があまり期待できるもんではない。
でも、モノは本当に良かった。
観て、大変爽やかな気分になれた。
NASAという、世界でも一番頭のいい連中が、世界的な偉業をやってのけるところで、
黒人差別がこんなにも「当たり前」だったことは、言われてみれば「そうかもしれない」と思った。
当時としては、それが普通で、別に悪気はなかったのだろう。
本作のいいところは、それを、テンポよく、コメディタッチで描いているところ。
これを辛気臭くやられたのでは、真面目な、つまらない映画になっただろう。
主役三人は、はっきり言って私は知らない。
それよりも注目に値するのは、ケビン・コスナーとキルティン・ダストンの脇役。
二人の存在が、映画の価値を高めている。
ケビン・コスナーの役回りは、いわゆる「美味しいところ」だが、
キルティン嬢の役回りは、むしろヒール。
スパーダーマンのヒロインだった頃は「なんでこんなブサイクが」と思ったものだが、
本作では実にいい感じで、嫌な奴を演じていて、これがいいスパイスになっている。
テーマの良さに甘えず、脚本、演出をきちっとして娯楽映画として完成させたところが、本作の成功ポイントだろう。