ゼロ号試写室

映画やDVDの感想。たまに初音ミク&仕事の雑感他。

『ゴジラ 怪獣惑星』は予想外に良かった 77点

godzilla-anime.com

 

【物語】★★★☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★☆

〔総合評価 77点〕

 

時は本日午後6時40分。

チネチッタ川崎のスクリーン8(五百人収容)で見たのだが、

3分前に劇場に入った時、一瞬、無人だったので清掃中かと思った。

よく見ると三人座っていて、最終的に私を含めて五人での鑑賞。

昨年、子供と『ガンバの冒険』(傑作!)を見た時は四人だったが、

あれはテアトル蒲田というかなり古い映画館。

チネチッタの綺麗でデカイ劇場で五人は、結構贅沢な体験だ(笑)

 

さてさて。

ブログ主は基本的にゴジラ好き。

今夏に、何かの映画を見た時に予告編で本作のことを知った。

ちょっと興味はあったが、本当に「ちょっと」だった。

別に見過ごしてもいいか、と。

 

で、今日仕事が早く終わり、何か見ようかと検索したところ、

本作に目が止まった。

あまり期待はしていないけど、ゴジラにお金を落とすのも宿命だと自分を納得させ、

軽い気持ちで見た。

それが良かったのか、非常に楽しめた。

 

物語は、ゴジラ映画というか、SF映画

ゴジラの出現で、一度地球を放棄した人型種族が再び地球への植民を試みる。

地球上にはやはりゴジラがいて戦いとなる。

人類以外の種族と共闘したり、少し最初戸惑うが、

基本的にはシンプルに「ゴジラをやっつける」話が続く。

物語自体は取り立ててよくも悪くもないのだが、非常にテンポよく話が進む。

上映時間は90分ほどで、最初は『ガンダム THE OLIGIN』みたいに中途半端なのではないかと危惧したが、密度が濃く、90分内で「これでもか」という迫力の展開を見せてくれる。

この辺り、見る人が見れば「ただのどんぱちじゃないか」というかもしれない。

贔屓目かもしれないが、私は単純に楽しめた。

 

演技は、まあアニメ(CG)だからなんとも言えないが、

下手に俳優や芸人を使わずしっかり声優を使ってくれていたので違和感なく楽しめる。

セル画ではなくCGであるため、ややアクションの自由度が低い気がするが、

それほど気にならない。

っていうか、もともとゴジラってあまり稼働しないから丁度いいのかも。

 

映像は白眉の出来。

CGはもっとチンケで安っぽくなるかと思ってたが反省。

めちゃめちゃかっこよかった。

特に宇宙船や兵器、通信手段などのテクノロジーの描写が気に入った。

脚本がしっかりしていることもあるのか、近未来感が出ていてクール。

実写でもない、アニメでもない、CGアニメがここまで迫力あるのか。

ゴジラのCGは、ん、こんなものなのかな・・・

 

記憶にある限り、ゴジラのアニメは初の試みだ。

そして本作はアニメでよかった。

これを実写でやっていたら失敗していただろう。

まずこのスケール感が出せないし、貧乏たらしいものになるだろう。

そして、同時期に上映中の『鋼の錬金術士』のように日本人だけのキャストに。

 

最後のテロップを見ても、基本的には純日本産のアニメのようだ。

世界的に有名な日本初のコンテンツを、日本アニメの技術で作った本作は、

もっと多くの人に鑑賞されてしかるべきだと思う。

 

このシリーズは3部作らしい。

次回のフリにも、ブログ主は相当アガっている。

来年5月の公開が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ミックス。』69点

mix-movie.jp

【物語】★★★☆☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★☆☆

 

見て損はないけれど、見なくても全く問題ない。

一言で言い表すと、そんな映画。

ただし新垣結衣フアンなら必見の映画かもしれない。

(残念ながらブログ主は該当しない)

 

かつて母親にスパルタで卓球をやらされていて、15年も遠ざかっていた主人公。

それが、失恋とか、色々あって卓球を再開し、全日本選手権で決勝まで行く。

メインストーリーは、斬新さはないものの、それほど無理なく共感できる筋書き。

細かいところではツッコミどころは多い。

その最たるものは、「いかに元天才少女とて、15年もブランクがあり、元ボクサーで目をやられている素人を1年鍛えたからと言って、現役日本最強ペアに善戦できるのか」と言うこと。ただ、ここは「映画だから」と片付けるのが大人というものか。

また、その元ボクサーが工事現場の仕事で非力なことから「もやし」と呼ばれるのだが、仮にもランカーだったボクサーが非力という設定はどうなんだろうか。

そうした細かいツッコミはあるが、話自体は、まあ、面白い。

 

演技的には、さして特筆すべきものはなし。

特段うまいとも思わないし、下手だとか、やりすぎとかもない。

良くも悪くも普通。

広末涼子の役どころはちょっと面白かったが、演技力があるというほどではない。

これはしょうがないかもしれないが、

新垣結衣は卓球がうまそうに見えなかった。

 

映像も、演技と同じく、可もなく不可もなく。

卓球のシーンで言えば、『ピンポン」の水準を求めてはいけないかもしれないが、

もう少し凝った映像にトライして欲しいところ。

普通にカメラに収めた感が、味気ない。

 

どこかに大きな減点があるわけではないのは、監督と脚本の力量かもしれない。

アイドル(ガッキー)映画と割り切れば、映像やストーリーは添え物なので、

これくらいの出来でいいのかもしれないが、

一映画として考えた場合、やはり物足りなさは否めない。

 

一家団欒で無難に楽しく見れる映画であることは間違いないので、

及第点は与えておく。

木下恵介『花咲く港』『陸軍』、溝口健二『雨月物語』の感想

movie.walkerplus.com

花咲く港

花咲く港

 

陸軍

陸軍

 

その名前と作品だけは学生の頃から知っていたけど、アクション娯楽映画しか興味のなかった私が一切関心を示さなかった溝口健二木下恵介映画。

いい歳になったので、そろそろと思い3本観てみた。

 

結論から言うと、評判通り、私の想像以上の良作だ。

ただし、この歳(40代オーバー)だからこんなことが言える。

血湧き肉躍る映画が好みだった学生の私にはオススメしない。

黒澤を見ておけ。

 

雨月物語』は、日本の古典映画の代表的な作品で、ベルリン映画祭金熊賞を取るなど、今なお世界的な評価の高い溝口作品だ。

しかしDVDのパッケージの解説を見るだけでも、全然面白そうじゃないなあと言うのがブログ主の正直な感想だったが、頑張って観て観た。

すると、意外に楽しめた。

ただし、なんだろう、「同監督作品をもう一回観たいか?」と問われれば、もういいかな。いい映画だけど、もうわかった的な・・・

古今東西に通用する普遍的なテーマを扱っているので世界でも評価されるのはわかるけれど、そして確かに観てよかったと思うけれど、なんと言うか、国語の授業で先生に無理やり見せられるような映画だな。

伝説の女優、田中絹代をきちんと観たのも初めて。特段美人とは思わないけど、日本的な女性の代表なんだろうな。

 

『花咲く港』は、木下監督デビュー作らしいが、こちらは愉快な人情コメディだ。

男はつらいよ』が好きなら楽しめるだろう。

ただ、あまり「過去の名作」として紹介されないであろう理由もある。

やや右寄りな場面、率直に言うと、「鬼畜米英に負けるな」「お国のために戦って死ね」的な描写が、ところどころ出てくるのだ。

ブログ主はその辺りでヒステリーになる性格ではないので「やっぱり当時はそうだったんだなあ」くらいにしか思わないが、現代の学校教育でこの手の作品を生徒に見せることはまずもって無理だろう。

『陸軍』は、さらに国威啓発映画と言うか、軍賛映画である。

病弱な男が、軍隊で活躍できないことを嘆く映画である。

ただ、観ていて退屈はしなかった。

当時、世の母親は(少なくとも主役の母親を演じる田中絹代は)「子供は国の宝。それを預からせてもらっている」「立派に兵隊になることができて、ホッとしている」と思っていた、あるいは、そう言わなければならない空気があったのだなあ。

同じ日本でも、全く異国のように感じた。

 

なお『陸軍』は、戦意高揚映画に見せかけた、反戦映画とも言われている。

確かに、ラスト10分くらいまでは「いかにお国のために死ぬか」が登場人物全員の目的になっているのだが、最後の最後、はたと気づいたように、母の田中絹代が、出征する息子を追いかけるシーンがある。それまで、あれだけ誇らしく見送っていたのに。

その焦燥感、後悔、そうしたものをにじませた表情を見せるラストの田中絹代は、不覚にも美しいと思ってしまった。それまで、なんでこんなおばさんを評価するのだろうと不思議だったが、最後の表情でそれが全て理解できた。

 

名作と言われるのには、それなりの訳がある。

 

 

 

 

『ブレードランナー2049』84点

www.bladerunner2049.jp

 

【物語】★★★★☆

【演技】★★★☆☆

【映像】★★★★☆

《総合評価》84点

 

往年の名作の、新作である。

観る前は心配していた。

『マッドマックス 怒りのデスロード』になるか。

『エイリアン コヴェナント』になるか。

果たして、心配は杞憂に終わった。

前者である。

つまり、良い続編であった。

 

前作から数十年後の舞台。

ストーリは、前作を見ていれば、より直感的に理解できるが、

前作を見ていなくても、そこそこSF映画慣れした人であれば理解できるレベル。

(ちなみにブログ主の隣に座っていた女性はチンプンカンプンだったらしく、隣の彼氏に逐一説明を求めていた)

鑑賞前に見たいくつかのレビューでは「退屈」みたいな書き込みがあり、「おいおい、ブレランはそもそもやや退屈な映画だろ? 何言ってんの?」みたいに思っていて、多少の退屈は覚悟して行ったのだが、約3時間、全く退屈しなかった。

さりとて、マイケル・ベイの映画のように爆発シーンとCGとアクションシーンのオンパレードみたいな安っぽい作りでもなく、非常にバランスの良い仕上がり。

しかも、脚本的にも好み。

ストーリーは観てのお楽しみだが、感情移入しやすく、心にしみる。

ブレードランナーの正当な進化系として受け入れられる。

 

演技は、個人的に大好きなライアン・ゴズリングが出ているだけでもう満足。

影がある主役をやらせて、これほどクールな男は今いない。

世界観にマッチしていて申し分なし。

ハリソン・フォードは、期待以上でも以下でもなし。

ただし、スターウオーズの新作と比べれば、ブレードランナーの新作の方が、個人的には好みである。

 

映像は、特筆すべきほどではないが、前作に負けじと頑張っている。

今のCG技術を持ってすれば、そんなに飛び抜けたレベルではないが、乾いた未来感が、これまた俺ごのみ。この世界観を構築したリドリー・スコットとシドミード、その世界観を受け継いだ本作に敬意を表する。

 

しかし、リドリー・スコットが監督するのではないと知った時にはやや心配したものだが、全くの杞憂だった。

むしろ、『エイリアン コヴェナント』を観たあとでは、リドリーが監督をしなくて本当によかったと思う。

 

『ドリーム』81点

www.foxmovies-jp.com

 

【物語】★★★★☆

【演技】★★★★☆

【映像】★★★☆☆

《総合評価》81点

 

『ララランド』より米国では評価が高かったのに(アカデミー作品賞ノミネート)、

日本ではなかなか公開されなかったとの訳あり作品。

そりゃ、ライアン・ゴズリングも出ないし、『ムーンライト』のように実際にオスカーをとったわけでもなく、女性問題・黒人問題を扱った作品なんて、日本での興行があまり期待できるもんではない。

でも、モノは本当に良かった。

観て、大変爽やかな気分になれた。

 

NASAという、世界でも一番頭のいい連中が、世界的な偉業をやってのけるところで、

黒人差別がこんなにも「当たり前」だったことは、言われてみれば「そうかもしれない」と思った。

当時としては、それが普通で、別に悪気はなかったのだろう。

 

本作のいいところは、それを、テンポよく、コメディタッチで描いているところ。

これを辛気臭くやられたのでは、真面目な、つまらない映画になっただろう。

 

主役三人は、はっきり言って私は知らない。

それよりも注目に値するのは、ケビン・コスナーとキルティン・ダストンの脇役。

二人の存在が、映画の価値を高めている。

ケビン・コスナーの役回りは、いわゆる「美味しいところ」だが、

キルティン嬢の役回りは、むしろヒール。

スパーダーマンのヒロインだった頃は「なんでこんなブサイクが」と思ったものだが、

本作では実にいい感じで、嫌な奴を演じていて、これがいいスパイスになっている。

 

テーマの良さに甘えず、脚本、演出をきちっとして娯楽映画として完成させたところが、本作の成功ポイントだろう。

 

『砂の器

www.amazon.co.jp

【物語】★★★★★

【演技】★★★★☆

【映像】★★★★☆

《総合評価》94点

 

名作と言われていることは知っているし、テレビドラマ化されるなどして、およそのあらすじも知っている。でも見たことがないので、生まれて初めて見た。

噂に違わぬ傑作だった。

ただ、中年になってから見たのは正解だと思う。

20代の頃に見たら、これほどは感動しなかったのではないか。

 

あらすじはもはや言うまでもない。

「ああ、これがドラマチックと言うのだな」と、その一言だ。

とすると、最近の「ドラマ」の、なんとドラマになっていないことよ。

 

あと丹波哲郎加藤剛森田健作の演技、また渥美清他のバイプレイヤーの存在は絶品。(この辺りは、若い方にはあまり効き目がないかもしれないが)

大スターのオーラというのは、フイルムでしか出せないだろうか。

 

映像は、大変味わい深い。

パンなどをすると画面が揺れるなど、今では考えられないようなこともあるが、

フイルムならではの味わいが、なんとも言えない。

戦前、戦後の日本の姿を見ているだけでもうっとりする。

私が生まれる前の映画だが、幼少期の頃の記憶にある日本の姿と少しリンクしているところもあり、戦前、戦後、高度経済成長とダイナミックに変わり続ける日本を、感覚的に堪能できた。

 

ええ、泣きました(笑)

感動する映画と言われているもので、本当に泣けるものは少ないのだが、これは泣いた。

ただね、ある程度としを食って、人生の酸いも甘いも味わってからの方が、この映画は染みると思う。

 

ああ、見てよかった。

 

 

 

 

 

 

『ソウルステーション:パンデミック』は『新感染』と同様に面白い。76点。

pandemic-movie.com

 

【物語】★★★☆☆

【演技】ーーーーー

【映像】★★★☆☆

《総合評価》76点

 

思わぬ拾い物だった『新感染』の前日譚アニメ。

監督も同じ(アニメが本業)。

前回は「期待していなかったが」、今回は「期待を裏切らなかった」。

つまり、面白かったと言うこと。

あくまで、ゾンビ好きの人に限る、と言うことだが。

 

この監督の映画のいいところは、変な斬新さを狙わず、丁寧なストーリーテリングを心がけることだろう。

本作も、ストーリーはシンプルながら、テンポよく、過不足なく、興味深く話しが進んでいく。話の背骨が非常にしっかりしていて、心地よい。

案外、これが難しい。

強引な筋書き、映像や演技による誤魔化しで、「物語が雑だなあ」と感じる映画は、日本でもハリウッドでも多い。

目新しい要素はないが、客が堪能できる料理をきっちりと出してくれる。これ、非常に大事。満足感が違う。

 

個人的には、ゾンビとしての新情報は得られなかったが、韓国の事情が色々分かったことは副産物として収穫だった。

経済格差(駅のホームレス)、根強い男尊女卑もそうだが、「お国のため」と言う考えが彼の国にはあるのだと言うことを改めて思い起こした。韓国だけでなく、やはり、徴兵制がある国は、「国に仕えた」と言う意識を持つのだ。日本で今、「俺は国のために尽くした」と言える人は、本当に少数派だろう。

 

アニメーションの技術であるが、これが高いか低いかは、ブログ主にジャッジすることはできない。一見アメコミ調っぽく、ペラっとした感じであるが、個人的にはまったく気にならない、普通に楽しめる映像だった。

ジブリ新海誠映画と比べると、そりゃあ「画」は違うかもしれない。

でも、もともと「画」を堪能する映画ではないと思うしね。

どちらかと言うと大友克洋系の映像かもしれない。

 

補足(ネタバレ含む)

物語に新規性、斬新性がないような書き方をしたが、クライマックス直前、あっと驚く展開が一つ隠されている。この辺りは脚本の勝利で、小気味好い。